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学生は、会社の何を知りたいのか。

2026/10/19 (月)


​この記事の3つのポイント
  1.  企業研究をしていても、学生は具体的な仕事の進め方や、困ったときの支援を想像できず、会社選びに迷うことがあります。
  2.  口コミやSNSのイメージで仕事を候補から外す学生もいます。企業が実態や課題への対応を具体的に伝えることが大切です。
  3.  学生の判断を後押しするのは、仕事の大変さや日々の支援などの具体的な情報です。企業理解は、まだ知らない仕事を選択肢に加えるきっかけにもなります。

就職相談の現場から見えてきた、企業理解の難しさ
企業説明会に参加した。採用サイトも読んだ。会社の事業内容や福利厚生も調べた。
それでも、どの会社を選べばよいのか分からない。
学生から、そんな相談を受けることがあります。
企業側からすれば、ホームページや求人票に仕事内容を掲載し、説明会でも詳しく話しているつもりかもしれません。
では、なぜ学生は判断できないのでしょうか。

私たちBTwithYouは、就職活動支援アプリ「ソダッテ!」を通じて、学生の相談を受けています。
今回は、2026年4月から10月にかけて寄せられた相談と、日々の面談で見えてきたことをもとに、学生が企業を理解するとき、何に迷い、何を知ったことで判断できるようになるのかを考えます。
企業の採用担当者に、学生の目線からお伝えしたいことがあります。

学生が知りたいのは「自分にできる仕事なのか」
学生に仕事内容を説明するとき、企業は事業内容や職種の役割を伝えます。
例えば、どんな商品やサービスを扱い、どのようなお客様を相手に仕事をするのか。もちろん、それは大切な情報です。
しかし、学生が知りたいことは、もう少し具体的なところにあります。

お客様には、どのように話をするのか。何か質問されて答えられなかったら、どうすればよいのか。仕事を一人で進められないとき、誰に相談できるのか。失敗したら、どうなるのか。
社会人にとっては、毎日の仕事の中で当たり前になっていることかもしれません。でも、働いた経験が少ない学生には、そこが分かりません。
そして、仕事の進め方が想像できないと、自分にできる仕事なのか判断できないのです。

私たちの相談現場では、長く働ける仕事を探している学生が多くいます。そのため、仕事に興味があるかどうかだけではなく、自分が続けていける仕事なのかを気にしています。
学生が知りたいのは、会社の魅力だけではありません。自分がそこで働いていけるのか、ということです。
だからこそ、仕事内容の説明には、実際の仕事の進め方や、困ったときの対応まで含めてほしいと思います。

企業研究をしていても、仕事が見えていない
学生が企業について分からないことを相談すると、「まず企業研究をしましょう」と言われることがあります。もちろん、学生自身が調べることは大切です。
しかし、相談に来る学生が、何も調べていないとは限りません。ホームページや採用ページを読んでいる学生もいます。それでも、具体的な仕事内容が分からないのです。

最近では、分からないことをAIに質問する学生もいます。ところが、企業の求人情報が要約されるだけだったり、その職種の一般的な説明が返ってきたりすると、結局、その会社で自分が何をするのかは分かりません。

「だったら、企業に直接聞けばよいのでは」と思うかもしれません。でも、学生にとっては、それも簡単ではありません。
こんなことを質問したら、仕事を理解していないと思われるのではないか。選考で不利になるのではないか。そう考えて、聞くことをためらってしまう学生もいます。

ここで企業側に考えてほしいことがあります。学生が質問してこないことと、疑問がないことは同じではありません。
仕事の中で困ったときの対応や、若手社員への支援など、企業側には当たり前のことでも、学生にとっては知りたい情報かもしれません。
質問されるのを待つだけではなく、学生が不安に感じやすいことを、企業側から伝えてみてはどうでしょうか。

仕事を知る前に、選択肢から外してしまうこともある
企業を選ぶ以前に、特定の仕事や働き方を最初から候補に入れない学生もいます。
理由を聞くと、仕事内容を詳しく調べた結果というより、以前から持っているイメージが影響していることがあります。そのイメージが作られるきっかけの一つが、SNSや口コミサイトです。

もちろん、口コミには実際に働いた人の経験が含まれています。その中には、学生が就職先を考えるうえで参考になる情報もあるでしょう。
ただ、ある人が経験したことが、同じ業界のすべての会社に当てはまるとは限りません。仕事内容も、教育体制も、困ったときの支援も、会社によって違う場合があります。

私たちが気になっているのは、学生がその違いを知る前に、「自分には合わない」と判断してしまうことです。
企業説明会に参加する前から候補に入れてもらえなければ、企業には自社の仕事内容を説明する機会がありません。学生自身も、自分に合う仕事と出会う機会を失っているかもしれません。

だからといって、学生に「そのイメージは間違っている」と伝えるだけでは、十分ではないと思います。
実際に大変な仕事があるなら、どこが大変なのか。仕事の進め方に不安があるなら、自社ではどのように対応しているのか。若手社員が一人で抱え込まないために、どんな支援があるのか。
こうしたことを、企業ごとの事実として説明してほしいのです。

知らないまま選択肢から外すことと、仕事内容を理解したうえで選ばないことは違います。
企業が目指すべきなのは、学生の不安を無理に打ち消すことではなく、自分で判断できる情報を届けることではないでしょうか。

学生の決め手になったのは、意外に小さな情報だった
学生が会社を選ぶとき、何が決め手になるのでしょうか。私たちの支援現場には、印象的な事例があります。
ある学生は、同じ分野の10社以上の企業説明会に参加しました。どの会社にもそれぞれ特徴がありましたが、なかなか決められません。
その学生が最終的に判断するきっかけになったのは、会社見学で社員から聞いた話でした。資格取得に必要な講習への参加が、勤務として扱われるという内容です。
企業にとっては、制度の一つにすぎないかもしれません。しかし、その学生には、入社後も学びながら働く姿を想像するための、大切な情報になりました。

また、別の学生は、複数の会社から内定を得ていましたが、どの会社にするか決められずにいました。その学生が判断するきっかけになったのは、社員との食事会です。
そこで社員から、仕事の大変な部分について率直に話を聞きました。会社としてできる限り支援すること、ただし自分で乗り越えていく必要があることも伝えられました。
会社の良いところだけを聞いたわけではありません。それでも、その話が決め手になりました。

この二つの事例に共通しているのは、学生が実際に働く自分を想像するための情報を得たことです。
会社の大きさや知名度だけではなく、日々の仕事や支援のあり方が、最後の判断につながることもあります。

志望理由が書けないのは、文章力の問題とは限らない
企業の採用担当者に、もう一つ伝えたいことがあります。それは、学生の志望理由についてです。
学生から「志望理由がうまく書けません」と相談されることがあります。文章を整えれば解決する場合もあるでしょう。
しかし、私たちの面談では、仕事内容を十分に理解できていないことが、その背景にある場合も少なくありません。
どんな仕事をするのか分からない。その会社で何ができるのか分からない。そこで働く自分の将来を想像できない。だから、なぜその会社で働きたいのかを説明できない。
こうした順番で、志望理由につまずいている学生がいます。

学生時代に力を入れたこと、いわゆる「ガクチカ」についても似た問題があります。自分の経験を素直に振り返るより、企業に評価されそうなエピソードを探そうとする学生がいます。
その結果、企業に合わせた文章を作ることが目的になってしまう場合があります。

ここで企業側にも考えてほしいのです。学生に志望理由を尋ねるのであれば、学生がその会社で働く理由を考えられるだけの情報が、十分に伝わっているでしょうか。
学生が説明できないのは、学生の準備不足だけが原因とは限りません。
企業が伝えている仕事内容が、学生にとって具体的に理解できるものになっているか。その点も、一度確認してみる価値があると思います。

企業を理解したことで、選ぶ仕事そのものが変わった学生
最後に、ある学生の事例を紹介します。
その学生は、最初からやりたい仕事が明確だったわけではありません。ほかの就職支援サービスから勧められたことをきっかけに、ある分野の会社を受けていました。
私たちは面談を重ねながら、その学生がどんなことに関心を持ち、どのような働き方を大切にしたいのかを一緒に整理しました。
すると、人の話を丁寧に聞き、親身になって支えたいという気持ちが強いことが見えてきました。

そこで、異なる形で人を支える仕事をいくつか紹介しました。仕組みやサービスを通じて多くの人を支える仕事もあれば、一人ひとりと直接関わりながら支える仕事もあります。
学生は、それぞれの企業説明会や見学に参加しました。実際に働いている社員から、仕事の面白さや大切さについて話を聞き、仕事内容を比較しました。
その結果、当初考えていた分野とは別の、人と直接向き合う仕事を選び、その分野の企業から内定を得ました。

もちろん、この一例だけで、企業理解が採用結果を良くすると証明できるわけではありません。
ただ、この学生は、最初に自分が考えていた仕事だけではなく、ほかの仕事も実際に知ったうえで、自分の進路を選び直しています。
企業を理解することは、すでに興味を持っている会社を詳しく知るためだけのものではありません。これまで考えていなかった仕事を、選択肢に加えるきっかけにもなります。

おわりに|企業が伝えるべきなのは、魅力だけではない
企業が採用活動で自社の魅力を伝えることは、もちろん大切です。
しかし、学生が仕事を選ぶために必要なのは、魅力的な言葉だけではありません。
どんな仕事をするのか。入社後に何を求められるのか。分からないことや困ったことがあったとき、誰がどう支えてくれるのか。仕事の難しさはどこにあるのか。自分がその会社で働いていけるのか。
学生は、こうしたことも知りたいと考えています。

そして、その答えは、企業が当たり前だと思っている日々の仕事の中にあるのかもしれません。
今回紹介した学生の事例からも、仕事の具体的な内容や社員の率直な話が、会社を選ぶ判断につながることが分かります。
私たちBTwithYouが企業理解サポートに取り組んでいるのも、企業の仕事についての情報を整理し、学生が自分の経験や希望と照らし合わせられるようにしたいと考えているからです。

企業が伝えたいことと、学生が仕事を選ぶために知りたいこと。その二つが近づけば、学生はもっと納得して仕事を選べるようになるのではないでしょうか。
企業を選んでもらうためだけではなく、学生が自分で選べるようにするために、仕事の現実を伝える。
これからの採用で、企業に大切にしてほしいことです。

企業理解サポートについて
学生が仕事内容を理解し、納得して企業を選べるようにする「企業理解サポート」。企業情報の整理・公開やサービスの仕組みについて、こちらでご案内しています。


本記事について
本記事は、BTwithYouが運営する就職活動支援アプリ「ソダッテ!」に寄せられた相談と、日々の学生面談で確認した内容をもとに作成しています。
掲載した事例は、個人や企業が特定されないよう、業界名や職種名などを一部置き換え、内容を要約しています。発言の直接引用ではありません。
また、紹介した内容は支援現場での観察や個別事例であり、日本の学生全体の傾向や、企業理解と採用成果の因果関係を証明するものではありません。



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