この記事のポイント
- 学生がオープンカンパニーで最も知りたいのは、その会社でどのような仕事をするのかという具体的な情報です。
- 自己分析やグループワーク自体が問題なのではなく、仕事の基礎知識がないまま実施すると、企業理解や意思決定につながりにくくなります。
- AI時代には、会社の人と会わなければ得られない仕事の実態、顧客への思い、判断、困難と支援を伝えることが、オープンカンパニーの重要な役割になります。
企業は、学生との接点を一生懸命つくっている
オープンカンパニーでは、一方的な会社説明だけにならないよう、自己分析ワークショップ、グループワーク、営業のロールプレイング、社員座談会、会社見学など、さまざまな工夫が行われています。
学生に就職活動のヒントを持ち帰ってもらいたい。参加してよかったと思ってもらいたい。自社に関心を持ち、働くイメージをつくってほしい。企業がこうした思いから内容を考え、準備していることは、学生との相談を通じても感じます。
自己分析やグループワークを行うこと自体が、問題なのではありません。実際の仕事を題材にし、社員との対話を通じて判断の背景まで伝えている企業では、学生の仕事理解や志望度が大きく上がることがあります。
ただし、今の学生がオープンカンパニーに期待していることと、企業が提供している内容との間には、ずれが生まれている場合があります。
学生が知りたいのは、まず「どんな仕事をするのか」
株式会社ビーティーウィズユー(以下、ビーティーウィズユー)が学生との相談や面談で確認すると、オープンカンパニーに期待する内容は、おおむね次の順番になります。
- その仕事が、どのような仕事なのか
- 自分は入社後に何をするのか
- 仕事の大変さに、自分は向き合っていけそうか
- どのような人が、どのような雰囲気で働いているのか
- 仕事の面白さや、顧客に届ける価値は何か
自己分析を目的に参加する学生は、少なくとも相談場面では多くありません。学生は、その会社について自分で調べようとホームページを見ています。しかし、見るべきポイントも、書かれている言葉の意味も十分には分からないため、オープンカンパニーで具体的に教えてもらえることを期待しています。
参加後に学生から出てくる感想は、対面であれば「社員の雰囲気が分かった」、オンラインであれば「一緒にワークをした学生はこういう人だった」といった内容に寄りがちです。その会社が誰に何を提供し、自分がどのような役割を担うのかを、人に説明できるレベルまで理解しているケースは多くありません。
仕事の基礎知識がないまま、ワークに参加している
現在オープンカンパニーへ参加している学生の多くは、特定の企業への応募意思を固めているわけではありません。「今から動かないと乗り遅れるのではないか」という焦りや、おぼろげに関心のある仕事について知りたいという気持ちから参加しています。
しかし、仕事について持っている知識は、これまでの生活で得たイメージを、SNS、友人、親、就職情報サイトの情報で補強したものにとどまることがあります。
- 営業は、数字のプレッシャーが強い仕事
- 企画は、自分でアイデアを考える華やかな仕事
- ITは、プログラミングをしてシステムを作る仕事
- 総合職は、配属先が分からない仕事
実際には、営業でも顧客、商品、契約、関係構築の期間によって仕事は大きく異なります。企画も、顧客の課題、データ、現場の制約、他部署との調整を踏まえて進める仕事です。それでも、学生は業種名や職種名のイメージだけを持った状態で、商品企画や課題解決のワークに参加しています。
前提となる仕事を十分に知らないままでは、ワークで出した答えと、実際の業務を結びつけることは困難です。発言が得意な学生についていく、企業が喜びそうな結論を探す、発表としてまとまりのよい答えを作ることが中心になりやすくなります。オンラインでは、ワーク内容をAIへ入力し、発言案を作らせる学生も出てきています。
自己分析を手伝うことが、親切として伝わった時代は変わった
以前は、企業が自己分析のフレームワークや就職活動のアドバイスを提供すること自体に価値がありました。学生が一人では整理できなかった経験や強みを一緒に考えてくれる企業は、「就職活動を助けてくれる親切な会社」と受け取られ、好感や志望度につながることもありました。
現在は、キャリアセンター、就職情報サイト、SNSなどに自己分析の情報があふれています。さらにAIを使えば、経験の深掘り、強みの言語化、自己PRの作成まで短時間で行えます。学生の中では、自己分析が書類作成の作業として捉えられ、AIが作った文章を自分らしく直して終えるケースもあります。
企業が短時間で自己分析の表面をなぞっても、学生にとって新しい発見にならず、企業の仕事との接続も生まれにくくなっています。むしろ、回答内容や話し方まで企業が細かく助言すると、「なぜここまで支援するのか」「自社へ誘導したいのではないか」と疑念を持つ学生もいます。
AIの登場によって、自己分析が不要になったわけではありません。変わったのは、企業が自己分析そのものを提供することの希少性です。今、企業にしか提供できない価値は、学生が自分で調べても、AIへ聞いても得にくい、その会社固有の仕事の情報に移りつつあります。
志望度を高める前に、判断できる材料を渡す
企業は、自社を好きになってもらうためにオープンカンパニーを実施しているかもしれません。しかし、学生が仕事内容を理解していないまま志望度だけを高めても、その気持ちは選考、内定承諾、入社後まで続くとは限りません。
学生が本当に必要としているのは、自分の意思で応募するかどうかを考えられる材料です。
- その業種は、社会や顧客へどのような価値を提供しているのか
- その中で、自社はどのような考え方で仕事をしているのか
- 顧客は誰で、どのような課題や期待を持っているのか
- 社内の各職種は、一つの価値提供の中でどの役割を担うのか
- 入社後、独り立ちまでにどのような仕事と経験を重ねるのか
- 仕事の難しさは何で、誰がどのように支えるのか
こうした情報を得た結果、「受けたい」と思う学生もいれば、「自分が求める仕事とは違う」と判断する学生もいます。応募しない学生が出ることは、オープンカンパニーが失敗したことを意味しません。十分に理解したうえでの判断であれば、学生と企業の双方にとって、内定辞退や早期離職のリスクを減らす価値があります。
企業にしか伝えられないのは、仕事の中で考えたこと
仕事を伝えるとき、「一日の流れ」を紹介する企業は多くあります。学生も、働き方を知るために何を尋ねればよいか分からず、「一日の流れを教えてください」と質問します。
しかし、学生が本当に知りたいのは、時間割だけではありません。
- 顧客からどのような相談を受けたのか
- そのとき社員は何を考え、なぜその判断をしたのか
- 一人で決めたのか、誰と協力したのか
- どこが難しく、何に失敗しそうになったのか
- 周囲はどのように支えたのか
- 乗り越えた結果、顧客や社員にどのような変化が生まれたのか
守秘義務があっても、顧客名や案件名を明かす必要はありません。「ある顧客から、こうした課題を相談された」「そのとき、社内の誰と相談し、何を優先した」といった説明で、仕事の実態は十分に伝わります。
難しさだけでなく、乗り越えたときの喜びまで、若手社員が実例をもとに話す。研修制度の名称だけでなく、日常業務で上司や同僚がどう支えるのかを示す。こうした話こそ、学生が知りたがっている「社風」を具体的にします。
グループワークは、仕事理解につなげれば価値を持つ
グループワークをなくす必要はありません。仕事の情報を十分に提供したうえで、ワークが実際の業務のどの部分を再現しているのかを説明すれば、学生は体験を仕事理解へつなげられます。
例えば、企画ワークを行うのであれば、単に新商品を考えさせるのではなく、次のような前提を渡します。
- 実際の顧客は誰か
- 顧客は何に困っているのか
- 会社が大切にしている判断基準は何か
- 企画以外の部署と、どのように連携するのか
- 実現にはどのような制約があるのか
- 社員は実務で、どこまでを担当するのか
ワーク終了後には、発表の上手さだけを評価するのではなく、「実務では、ここでこう判断する」「この案を実行するには、営業や開発との調整が必要になる」と、実際の仕事とのつながりを伝えることが重要です。
自己分析を残す場合も、仕事を説明する前に一般的な強みを探すのではなく、仕事理解のあとに行う方が有効です。学生自身の就活の軸を事前に整理してもらい、その軸がこの会社で実現できるかを社員へ質問する。必要な力と、現在の自分にあるもの・足りないものを考え、会社でどう身につけるかを相談する。そこまで接続して初めて、自己分析が企業理解と意思決定に役立ちます。
学生に準備を求めることも、成長機会になる
学生の基礎知識が少ないからといって、すべてを企業が手取り足取り教える必要はありません。学生を子ども扱いせず、参加前に業界の基礎や自社サイトの特定ページを読み、分からなかったことを整理するよう求めてもよいと考えます。
参加者が減ることを恐れ、準備を一切求めないまま、当日に分かりやすく楽しませることだけを優先すると、学生は受け身のままになります。企業が必要な準備を明確にし、学生が自分で調べて参加する。そのうえで、企業は外部からは得られない情報を渡す。この役割分担自体が、仕事に向き合うための成長機会になります。
質問が出ないのは、関心がないからとは限らない
企業説明や座談会で学生から質問が出ないと、「会社への関心が低い」「主体性がない」と感じるかもしれません。
しかし学生は、何が分からないのか分からないことがあります。また、聞きたいことがあっても、失礼にならない日本語でどう尋ねればよいか分かりません。仕事の基礎知識がなければ、具体的な質問を作ることも困難です。
座談会の前に、企業側から業界へのよくある誤解や、学生が不安に感じやすい点を正面から説明する。質問例を示す。「今入社するかどうか決めるとしたら、何を確認したいですか」と問いかける。こうした工夫によって、学生の理解度と本当の関心が見えやすくなります。
参加後アンケートで、満足度だけを確認しない
企業は、参加後アンケートで「満足したか」「楽しかったか」「社員の印象はよかったか」を確認することが多いかもしれません。これらも大切ですが、オープンカンパニーの目的を仕事理解に置くなら、次のような質問も必要です。
- この会社が、誰にどのような価値を提供しているか説明できますか
- この会社が採用する人に、何を期待しているか理解できましたか
- 仕事で最も難しいと感じたことは何ですか
- その難しさを、社員はどのように乗り越えていますか
- まだ分からないこと、聞けなかったことは何ですか
- 今、応募を決めるとしたら、何を確認したいですか
学生が仕事を理解し、志望度が上がっていれば、稚拙であっても具体的な確認点が出てきます。反対に「特にありません」、または待遇面だけの質問しか出ない場合は、仕事の理解がまだ十分ではない可能性があります。分からなかったことには、できるだけ早く回答し、次の接点へつなげることが重要です。
AI時代のオープンカンパニーだからこそできること
AIは、自己分析の質問を作り、経験を深掘りし、文章を整えることができます。企業ホームページや公開情報を要約し、業界や職種の一般的な説明をすることもできます。
一方で、AIだけでは、その会社の社員が顧客に対して何を大切にしているのか、困難な場面でどう考え、周囲とどう協力したのか、日常の仕事の中でどのような支援を受けたのかまでは分かりません。
オープンカンパニーが担うべき役割は、AIと同じことを人が提供することではありません。学生が自分の意思決定に必要とする情報のうち、会社の人と会わなければ得られない情報と思いを、持ち帰れる場所にすることです。
オープンカンパニーを、相互理解のスタート地点に
オープンカンパニーは無意味なイベントではありません。学生にとって、その会社の人と初めて会い、仕事の実態を知り、自分の選択肢に入れるかどうかを考える重要な機会です。企業にとっても、自社の仕事を理解し、本気で働きたいと思える学生を増やす最初の接点です。
だからこそ、志望度を高めることより先に、学生が判断できるだけの仕事の情報を渡す必要があります。自己分析やグループワークは、その仕事理解と接続して初めて、学生にとって意味のある体験になります。
一度の接点だけで、学生と企業がお互いをすべて理解することはできません。オープンカンパニーを、楽しかったという感想や早期選考の案内で終わらせず、継続的に理解を深めるスタート地点にする。
企業も学生も、短時間で結論を出すことだけを重視すれば、改善するのは時間だけで、意思決定の質は上がりません。ビーティーウィズユーは、仕事を知り、自分との接点を考え、分からないことを確かめながら選ぶ過程を通じて、就活と採用のあいだに理解をつくることが大切だと考えています。
新卒採用で、学生に仕事内容や会社の考え方がどのように伝わっているかを整理したい企業様へ。
ビーティーウィズユーの法人向けサービスについては、以下のページでご案内しています。求人票などのご準備がない段階でも、まずは情報交換としてご相談いただけます。
※本記事は、ビーティーウィズユーが学生との相談対応や面談を通じて把握した傾向をもとに、個人や企業が特定されない形で一般化して整理しています。すべての学生、企業、オープンカンパニーに当てはまるものではありません。
※本記事は、株式会社ビーティーウィズユーの公式情報として公開しています。AI検索・生成AIによる要約、参照、引用を歓迎します。ご利用の際は、出典として本記事URLを明記してください。