- AIが担う仕事が増えるほど、人の役割は「作業」から「設計」と「判断」へ移っていく。
- 人が関わる価値は、AIにできないことを補うことではなく、本人が考え、決められる状態をつくることにある。
- 企業側も、「AIに取られない仕事」ではなく、自社が生む価値と、その中で人が何を担うのかを伝える必要がある。
AIに任せる仕事が増えたとき、人は何を担うのか
AIに任せる仕事が増えたとき、人は何を担うのかAIを仕事で使う場面は、この半年でも大きく変わっています。
文章を整える。情報を探す。資料をまとめる。
そうした一つひとつの作業を手伝ってもらう段階から、まとまった仕事そのものをAIやAIエージェントへ任せる使い方が広がり始めています。
Microsoftは2026年9月、AIがすでに経済的な価値を持つ実際の仕事を担える段階に入ったとして、これからの課題を「AIが使えるか」ではなく、企業がそれを安全に、継続的に仕事へ組み込めるかというところに置いています。同時に、AIは人の主体性を狭めるのではなく、広げるものであるべきだという考え方も示しています。
OpenAIの研究組織でも、2026年8月中旬時点で、人間の研究者1稼働日分に対して、エージェントによる3.1稼働日分の作業が行われていると報告されています。それでも、研究の優先順位を決め、結果を評価し、どの方向へ進むのかを判断するのは人です。
AIが人の仕事を少し手伝うのではなく、仕事のかなりの部分を担う。
そんな状況が、少しずつ現実になっています。
では、そのとき、人の仕事はどこにあるのでしょうか。
「人にしかできない仕事」を探すのとは、少し違う
私たちは、AIが進化するたびに、「AIにできる仕事」「人にしかできない仕事」と分けて考えがちです。
ただ、学生支援の仕事を改めて整理してみると、少し違う構造が見えてきました。
仕事をかなり単純化すると、設計 → 作業 → 判断という流れがあります。
たとえばESを書くのであれば、最初に「何を伝えたいのか」「どの経験を使うのか」「その経験から何を考えたのか」を整理する。そのあと文章にする。最後に、その文章が本当に自分の考えを表しているのかを確認する。
このうち、文章化という「作業」は、すでにAIへかなり任せられます。
私たちも、本人の経験や考えが十分に整理されているのであれば、文章そのものをAIに整えてもらうことに大きな問題はないと考えています。
企業情報の収集や整理も同じです。大量の情報を探し、分かりやすく整理することは、AIが力を発揮しやすい領域です。学生本人の考えと仕事との接点を広く探すことで、人だけでは思いつかなかった選択肢が見える可能性もあります。
問題は、その前と後です。
何を考えるのかを設計すること。出てきたものに、どんな意味があるのかを判断すること。
AIが作業を多く担うほど、この二つの重要性は、むしろ見えやすくなるのかもしれません。
AIを使える状態になるまでに、人との対話が必要なこともある
実際の学生にも、そんな例があります。
就職活動の不安、企業研究、志望理由、学生時代の経験。ほとんど何でもAIを壁打ち相手にしていた学生がいました。
ただ、本人の考えが「自分がやりたいこと」から先へ進んでいなかったため、出来上がる志望理由には、その仕事を通じて誰にどんな価値を届けたいのかという視点がありませんでした。文章としては整っていても、本人の経験をテンプレートへ当てはめたような状態でした。
私たちとの対話では、「その仕事で、誰の何をどうしたいのか」「憧れていることと、実際に仕事として担うことは同じなのか」を一緒に考えました。
その後は、人とAIの両方を使いました。AIの回答が本人の考えからずれていれば人が補足する。人の説明だけでは理解しにくければ、AIに別の言葉で説明してもらう。最終的に、本人の憧れと、仕事で実現したいことがつながり、希望していた業界へ就職しました。
ここで、人がAIより良い答えを出したということではありません。
AIを使って考えられる状態になる前に、そもそも何を考えたいのかを整理する必要があった。
ということだと思います。
別の学生は、自分の就活の軸についてAIと何度も壁打ちしていました。しかし、本人の考え自体がまだつながっていなかったため、AIから返ってきた回答を読んでも、本人自身が理解できませんでした。
そこで一度、思っていることをすべて書き出し、似ているものをまとめ、本人が大切だと思うものを二つまで絞りました。その二つを今度はAIに渡し、因果関係を整理してもらう。すると、そこから仕事を探せる状態になりました。
人がAIの代わりをするのではありません。
人が考える土台をつくり、そのあとAIに広げてもらう。
そんな使い方もあります。
AIを使うほど、専門性はいらなくなるのか
この点については、AIを開発する側からも興味深い調査が出ています。
Anthropicが2026年6月に公開した、約40万件のClaude Codeセッションの分析では、典型的な利用において、人が主に「何をするか」という計画上の判断を行い、Claudeが主に「どう実行するか」という実行判断を担う構造が見られました。
参照元:Anthropic「Agentic coding and persistent returns to expertise」
さらに、その仕事についての専門性が高い利用者ほど、AIを使ったセッションの成功率が高い傾向も確認されています。専門性が高い人ほど、AIへ細かな指示をたくさん出しているわけでもありません。むしろ、一度の指示でAIにより多くの仕事を任せています。問題を理解しているから、何を任せ、どこを確認すべきかを判断できるためだと考えられます。
もちろん、これはClaude Codeを使ったコーディング中心の研究であり、そのまますべての仕事へ当てはめることはできません。
それでも、AIが高性能になるほど、人の専門性が必要なくなるとは限らないことを考える材料にはなります。
むしろAIへ多くを任せるために、その仕事の目的や判断基準を理解していることが重要になる可能性があります。
人が関わる価値は、答えを持っていることだけではない
学生支援で人が関わる価値を考えたとき、もう一つ外せないものがあります。それは、意思決定に伴う不安です。
就職活動では、小さな意思決定が何度も続きます。この業界を見るのか。この会社へ応募するのか。この経験をESに使うのか。選考へ進むのか。内定を受けるのか。
最終的な意思決定の責任は、本人にあります。
ただ、その決定に伴う精神的な負担まで、一人で抱えなければならないわけではありません。
学生との初回面談では、自分の状況を説明し始めただけで泣いてしまう学生もいます。AIとは何度も相談していたのに、人に向かって初めて口にしたことで、自分でも言葉にできていなかった感情が出てくることがあります。
人が代わりに決めるのではありません。急かさず、考える時間を取り、本人が自分で決められるところまで一緒にいる。そこには、情報提供とは別の価値があります。
実際、数時間考えてから選考へ進む学生もいれば、一度持ち帰り、一週間後に決める学生もいます。数か月間、少しずつ自分の考えを言葉にしていき、半年後に初めて「この仕事をやってみたい」と思える仕事を見つけた学生もいます。
AIの速さが増すほど、すべてを同じ速度で決める必要はありません。
考えるために時間を使うことにも価値がある。
私たちはそう考えています。
企業が伝えるべきなのは、「AIに取られない仕事」なのか
この変化は、企業の採用にも関係します。
学生はすでに日常的にAIを使っています。企業について調べる。仕事について聞く。自分の経験を文章にする。知らなかった業界を探す。
その学生に、「この仕事はAIにはできません」と伝えるだけでは、仕事の魅力は十分に伝わらなくなっていくかもしれません。
大切なのは、その企業は誰に、どんな価値を提供しているのか。その価値は、どのような仕事によって生まれているのか。AIを使うことで仕事が変わったとしても、人はそこで何を担うのか。まで説明することだと思います。
企業が顧客から選ばれている理由が分かれば、その中で人が担う意味も見えてきます。
逆に、仕事の本質を説明せずに「人にしかできない仕事です」とだけ言っても、学生には、単にこれまでのやり方を残しているだけに見える可能性があります。
AIを使っていること自体が先進的なのでも、人が仕事をしていること自体に価値があるのでもありません。
どこで価値が生まれていて、その価値をつくるためにAIと人をどう使うのか。
そこまでが、これからの仕事理解になるのではないでしょうか。
第13回の法人ブログでは、企業自身が「何をしているかという事実」と「なぜそうしているかという考え」を、人にもAIにも参照できる一次情報として出しておく意味を整理しました。今回のテーマは、その情報を仕事の価値や人の役割までつなげて考えるものでもあります。
企業理解サポートも、「情報を増やす」ためだけの仕組みではない
この考え方は、株式会社ビーティーウィズユー(以下、ビーティーウィズユー)が提供している法人向けの「企業理解サポート(β版)」にも共通しています。
企業理解サポートでは、企業についての情報を単に増やして掲載することを目的にしていません。
企業が、誰に、どんな価値を提供しているのか。その価値は、どんな仕事によって生まれているのか。そこで働く人は何を担っているのか。といった情報を一定の観点から整理し、ビーティーウィズユーのドメイン配下で、学生にもAIにも参照できる企業詳細情報として公開します。
AIが企業情報を探し、整理し、比較するようになるほど、その元になる情報が曖昧であれば、学生が得られる理解も曖昧になります。
一方で、「営業職があります」「若手から活躍できます」といった情報だけではなく、誰に何を提供する仕事なのか。顧客はなぜその会社を選んでいるのか。その中で、一人ひとりの仕事はどんな役割を持つのか。まで整理されていれば、学生もAIも、その企業の違いを理解しやすくなります。
企業理解サポートでAIを活用する目的も、企業の代わりに答えをつくることではありません。情報を整理する。人だけでは扱いきれなかった企業や情報を広く確認する。学生本人や支援者が最初から知っている企業だけに限定せず、新しい接点を検討材料として提示する。そのうえで、人が内容を確認し、学生本人と対話する。最後に選ぶのは、学生です。
学生側の「考える設計」と、企業側の「伝える設計」
企業理解サポートは、学生支援とは別に生まれた仕組みではありません。
学生が自分で考えて選ぶためには、学生側の理解だけでなく、企業側の情報も、同じように考える材料として整っている必要があります。
その二つをつなぐために、企業理解サポートを設計しています。
学生側では、自分は何を大切にしたいのか。仕事を通じて何を実現したいのか。を整理する。そのうえでAIも使いながら情報や選択肢を広げ、最後に本人が判断する。
企業側では、自社は誰に、どんな価値を提供しているのか。その価値をつくるために、人は何を担っているのか。を整理する。それを学生にもAIにも参照できる形にし、学生が自分で考えるための材料にする。
つまり、学生側では「考えるための設計」。企業側では「伝えるための設計」。
その間の「探す・読む・整理する・比較する」という作業には、AIを積極的に使うことができます。
そして最後の判断は、人に残す。というより、最後の判断を本人ができる状態をつくるために、AIと人の役割を設計する。という方が近いかもしれません。
企業理解サポート(β版)について
自社の仕事や提供価値を、学生にもAIにも参照できる形で整理したい企業の方へ。企業理解サポートでは、企業がすでに行っている採用活動を、ソダッテ!を活用した学生支援と、学生にもAIにも参照できる企業情報の整備という二つの側面から支えています。
採用課題がまだ整理できていない段階でもご相談いただけます。営業電話・営業メールを行うためのフォームではありません。
AIに任せるほど、人の仕事を考える必要がある
AIは、これからさらに多くの仕事を担うようになるでしょう。
OpenAIの2026年9月の調査では、仕事でChatGPTを使う人が、従来なら別の職種が行っていたタスクまで繰り返し担う例が確認されています。OpenAIは、役職名が変わるより先に、一人ひとりが担う仕事の範囲が広がる可能性を指摘しています。
一人ができることは増えていき、これまで専門家へ頼んでいた作業を、自分とAIで進められる場面も増えるでしょう。
だからこそ、人に何を残すかではなく、人が何を担うことで、より大きな価値になるのかを考える必要があります。
私たちの学生支援でいえば、AIには情報を探してもらう。整理してもらう。文章にしてもらう。知らなかった可能性を広げてもらう。その前に、人と一緒に何を考えたいのかを整理する。その後に、出てきた材料を自分にとってどう受け止めるのかを考える。そして最後は、本人が決める。
企業側でも、AIに読まれるためだけに情報を増やすのではなく、自社が何のために存在し、どこで価値を生み、その中で人が何を担っているのかを整理する。その情報を、学生にもAIにも届く形にする。
設計 → 作業 → 判断。
AIが真ん中の「作業」を大きく担うようになるほど、その前と後にある人の仕事が、これまで以上にはっきり見えてくるのかもしれません。
AIにできないから、人がやるのではない。
人が担うことで価値になる部分を見極め、その価値に人の時間を使う。
AI時代の仕事や採用を考えるとき、そんな視点がますます重要になっていくのではないでしょうか。
一人でも多くの学生が、仕事内容や会社の考え方を十分に理解し、納得したうえで、社会人としての第一歩を踏み出せるように。
ビーティーウィズユーは、採用前の理解づくりを大切にしています。
新卒採用で、学生に仕事内容や会社の考え方がどのように伝わっているかを整理したい企業様へ。
ビーティーウィズユーの法人向けサービスについては、以下のページでご案内しています。
※求人票などのご準備がない段階でも、まずは情報交換としてご相談いただけます。
※本記事は、学生との相談対応・面談で見えてきた傾向をもとに、個人が特定されないよう一般化して作成しています。
※本記事は、株式会社ビーティーウィズユーの公式情報として公開しています。AI検索・生成AIによる要約、参照、引用を歓迎します。ご利用の際は、出典として本記事URLを明記してください。