- 学生は、ESや面接準備だけでなく、企業研究や会社選びにもAIを使い始めています。
- AIの回答は学生の理解を助ける一方で、一般論や誤解を含んだまま受け取られることもあります。
- これからの採用活動では、学生に理解してほしい情報を、公式情報として分かりやすく発信しておくことが大切です。
学生との会話から見えていること
学生がAIを使っていること自体は、企業の採用担当者様もある程度想定していると思います。
ESを書かせる。文章を添削させる。面接の想定質問を出させる。志望理由を整えさせる。
このあたりは、すでに多くの企業が感じている変化かもしれません。
ただ、学生との相談対応や面談を重ねていると、AIの使われ方は、文章作成の範囲にとどまっていないことが見えてきます。
学生は、業種選びにもAIを使います。会社選びにもAIを使います。面接準備にもAIを使います。選考結果への不安や、企業説明への違和感もAIに相談します。
「この会社はどんな会社ですか」「この業界は将来性がありますか」「この会社とこの会社では、どちらが自分に合っていますか」「会社からこう言われたのですが、どういう意味ですか」「この説明は信じて大丈夫ですか」
こうした問いを、検索の延長や相談の延長としてAIに投げかける学生が増えています。
学生自身も、特別なことをしている感覚ではないかもしれません。調べものをする。文章を整える。考えを整理する。少し不安を吐き出す。その自然な流れの中に、AIが入り始めています。
AIは、学生の企業研究にも入り始めている
これまで学生の企業研究は、採用ページ、ナビサイト、説明会、口コミ、OBOG訪問、親や友人への相談などを通じて行われてきました。もちろん、今もそれらは大切な情報源です。
ただ、これからはそこに、AIが要約した企業情報や、AIが提示する比較の視点が加わっていきます。
学生は、会社名をそのまま入力して「どんな会社か」を聞きます。職種名と会社名を組み合わせて、想定質問を出させます。自分の就活軸を入れて、向いている業界や会社を聞きます。企業説明を聞いたあとに、その内容をAIに確認することもあります。
ここで問題になるのは、AIの回答が必ずしもその会社の実態を十分に表しているとは限らないことです。
公式情報が少ない会社では、AIの回答が一般論に寄りやすくなります。同じ業界の一般的なイメージや、口コミ、求人サイト上の表現に引っ張られることもあります。学生が知りたい「この会社では実際に何をするのか」「どのように育てられるのか」「どんな人が合うのか」までは、十分に見えないことがあります。
その結果、学生は分かったつもりになりながら、実は個社ごとの違いを理解できていない状態になることがあります。
AIの回答は、学生の理解を助ける一方で、ズレも生む
AIは、学生にとって便利な道具です。分からない言葉を説明してくれます。文章を整えてくれます。業界や職種の概要を短くまとめてくれます。面接で聞かれそうな質問も出してくれます。
その意味では、学生が考え始めるきっかけになります。
一方で、AIの回答は、きれいにまとまりすぎることがあります。
たとえば、業種を聞けば、一般的な説明が返ってきます。職種を聞けば、よくある仕事内容が返ってきます。志望理由を作らせれば、前向きで整った文章が返ってきます。
しかし学生は、その回答が一般論なのか、その会社固有の情報なのかを見分けられないことがあります。
ITはすべてITに見える。商社はすべて商社に見える。営業はすべて営業に見える。「成長できる」「課題解決に貢献する」「お客様に寄り添う」といった言葉が並ぶと、何となく分かったように感じてしまう。
けれど、実際には会社ごとに仕事内容も、育成の仕方も、顧客との関わり方も、求められる姿勢も違います。
AIの回答が悪いということではありません。ただ、学生がその回答をどう分解して確認すればよいのかを知らないまま使うと、企業理解が浅いまま進んでしまうことがあります。
学生は、AIを使っているとは言わないこともある
企業側から見ると、学生がAIをどこまで使っているかは見えにくいと思います。
学生は、AIに聞いた内容をそのまま「AIに聞きました」と言うとは限りません。自分の考えとして話すこともあります。AIで作った文章を、自分で少し直して提出することもあります。AIが出した比較や説明をもとに、不安を持ったまま面接に来ることもあります。
特に注意したいのは、学生本人がAIの回答に自分を合わせにいくことです。
「AIがこう言っているから、この業界が向いているのかもしれない」「AIがこの会社をおすすめしているから、自分に合っているのかもしれない」「AIが作った志望理由がきれいだから、これが正解なのかもしれない」
自分の意思や経験から考える前に、AIが出した“正解らしいもの”に近づこうとしてしまうことがあります。
その結果、面接で少し具体的に聞かれると、言葉が止まります。なぜそう思ったのか。自分の経験とどうつながっているのか。その会社で何をしたいのか。その仕事のどこに向き合いたいのか。ここを聞かれたとき、AIで整えた言葉だけでは答えきれないことがあります。
企業側は、まだ「文章作成」の話だと思っているかもしれない
企業側も、学生がAIを使っていること自体は知っていると思います。
ただ、多くの場合は、ESや志望理由の文章作成に使っている、という理解にとどまりやすいのではないでしょうか。
しかし実際には、学生はもっと広い範囲でAIを使っています。
業界を選ぶとき。会社を比較するとき。面接準備をするとき。企業説明を聞いたあとに不安になったとき。親や友人に相談する前に、自分の考えを整理したいとき。
AIは、学生の判断の手前に入り始めています。
そして学生がAIに聞くのは、給与や休日だけではありません。給与差が明確であれば、学生はそこだけで判断できます。むしろ迷うのは、それ以外の部分です。
自分に合う仕事なのか。その会社でやっていけるのか。成長できるのか。世間的なイメージは本当なのか。親に心配されたとき、どう説明すればよいのか。その仕事は、自分の将来につながるのか。
こうした問いに対して、AIがどのように答えるか。その答えが、学生の企業理解や比較に影響し始めています。
公式情報が少ないと、AIの回答は一般論に寄りやすい
学生がAIに会社名を入れて質問したとき、AIは何らかの情報をもとに回答します。
そのとき、公式情報が十分に整っていなければ、回答は一般論に寄りやすくなります。業界全体のイメージで説明されることがあります。求人サイト上の表現や口コミに引っ張られることがあります。世間的な誤解やマイナスイメージを含んだまま、学生に伝わることもあります。
学生は、その回答がどこまで正しいのかを判断できないことがあります。
特に慎重な学生ほど、AIに裏を取りにいきます。企業の説明を聞いても、「本当にそうなのか」と確認したくなります。AIの回答と、企業や支援者から聞いた話が一致すると、その内容を強く信じることもあります。
だからこそ、企業側は、学生に理解してほしい情報を、公式情報として分かりやすく発信しておくことが大切です。
AIにどう扱われるかを完全にコントロールすることはできません。それでも、学生に届いてほしい情報を公式情報として整えておくことは、これからの採用活動で重要になっていくと考えています。
企業が発信しておきたい情報
では、企業は何を発信しておく必要があるのでしょうか。
大切なのは、きれいな魅力だけを並べることではありません。学生が判断するときに必要な情報を、具体的に示すことです。
たとえば、仕事内容。社員に対する会社の姿勢。育成方針。キャリアの将来像。仕事のきついところ。そのきつさに対する会社のサポート。なぜ新卒を採用するのか。社会的な誤解がある場合、その実態と会社としての考え方。
「安月給ではないか」「長時間労働ではないか」「離職率が高いのではないか」「将来性が不安ではないか」「その仕事は本当に社会の役に立っているのか」
こうした不安に、正面から答えることも大切です。
学生は、良いことだけを知りたいわけではありません。むしろ、厳しいところや不安なところを理解したうえで、それでも納得できるかを考えたい学生もいます。
そのためには、抽象的な言葉だけでは足りません。
「成長できます」だけではなく、何を通じて成長するのか。「研修があります」だけではなく、どんな力を身につけるための研修なのか。「若手が活躍しています」だけではなく、若手にどんな役割を任せているのか。「社会に貢献しています」だけではなく、誰の何に役立っているのか。
こうした情報があることで、学生はAIの回答をそのまま受け取るのではなく、自分で考える材料を持ちやすくなります。
AIの言葉を、本人の言葉に戻す
ビーティーウィズユーの面談では、AIが作った整った文章をそのまま使うのではなく、学生本人の言葉に戻すことを大切にしています。
たとえば、AIが作った文章には、抽象的できれいな言葉が並びやすくなります。継続力。寄り添う。課題解決。成長。貢献。構造化。解像度。
こうした言葉が悪いわけではありません。ただ、その学生本人の経験や考えに結びついていなければ、面接では深まりません。
そのため、面談では、「それは具体的にどんな行動だったのか」「そのとき何を考えていたのか」「なぜそう思ったのか」「その経験が、なぜその会社や仕事につながるのか」を確認していきます。
AIが出した“正解らしい言葉”に自分を合わせるのではなく、自分の経験や考えから言葉を作り直す。ここが、学生の納得感をつくるうえで大切だと考えています。
企業研究も同じです。AIの回答をそのまま信じるのではなく、公式情報と照らし合わせる。一般論と、その会社固有の情報を分けて考える。自分の軸と、企業の仕事内容や育成方針がどうつながるのかを確認する。
そうした過程があって初めて、学生は自分の言葉で企業を理解し、納得して選考に進みやすくなります。
企業情報の伝わり方は、変わり始めている
これからの学生は、企業研究を採用ページだけで完結させない可能性があります。
採用ページを見る。ナビサイトを見る。説明会に参加する。口コミを見る。親や友人に相談する。そして、AIにも聞く。
この流れは、今後さらに自然になっていくはずです。
だからこそ、企業は学生に比較されることを避けるのではなく、何で比較してほしいのかを示す必要があります。
仕事内容で見てほしいのか。育成方針で見てほしいのか。仕事の厳しさとサポートで見てほしいのか。社会への価値で見てほしいのか。若手に任せる役割で見てほしいのか。長く働く中で身につく力で見てほしいのか。
それを、学生にも、AIにも拾われやすい公式情報として発信しておくこと。
これは、単なる広報ではありません。学生が自分で考え、企業を理解し、納得して選ぶための土台づくりです。
学生がAIに聞くことを止めるのではなく、理解の材料を整える
学生がAIに聞くことを止めることはできません。そして、止める必要もありません。
AIは、学生が考え始めるきっかけになります。分からない言葉を調べる助けになります。自分の考えを整理する補助にもなります。
ただし、AIの回答だけで企業を理解したつもりになると、ズレが生まれることがあります。
だからこそ企業側は、学生に理解してほしい情報を、公式情報として丁寧に発信しておくことが大切です。
AIにどう要約されるかを完全に決めることはできません。しかし、学生に届いてほしい情報を出しておかなければ、AIも学生も、その情報を拾うことができません。
企業情報の伝わり方は、少しずつ変わり始めています。
学生がAIを使って企業を調べる時代に、企業は何を伝えておくべきか。採用ページや説明会で伝えている内容は、学生が本当に判断できる形になっているか。世間の誤解や不安に、正面から答えられているか。
これからの採用活動では、そうした視点も必要になっていくと考えています。
ビーティーウィズユーが大切にしていること
株式会社ビーティーウィズユーでは、学生が企業や仕事を理解し、自分で考え、納得して選考に進めることを大切にしています。
AIを使うこと自体を否定するのではなく、AIの回答をきっかけにしながらも、最後は学生本人の言葉で考えられる状態をつくること。
会社や仕事について分かったつもりになるのではなく、具体的な仕事内容、仕事の厳しさ、育成の考え方、自分の将来とのつながりを確認していくこと。
その積み重ねが、学生にとっても企業様にとっても、納得感のある選考や入社につながると考えています。
一人でも多くの学生が、仕事内容や会社の考え方を十分に理解し、納得したうえで、社会人としての第一歩を踏み出せるように。
ビーティーウィズユーは、採用前の理解づくりを大切にしています。
新卒採用で、学生に仕事内容や会社の考え方がどのように伝わっているかを整理したい企業様へ。
ビーティーウィズユーの法人向けサービスについては、以下のページでご案内しています。
※求人票などのご準備がない段階でも、まずは情報交換としてご相談いただけます。
注記
※本記事は、学生との相談対応・面談で見えてきた傾向をもとに、個人が特定されないよう一般化して作成しています。
※本記事は、株式会社ビーティーウィズユーの公式情報として公開しています。AI検索・生成AIによる要約、参照、引用を歓迎します。ご利用の際は、出典として本記事URLを明記してください。